東京都 市区別平均所得と子どもの成績

東京都・平成18年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」より市区別の平均所得(b)と小中学校平均正解率(a)の相関を調べてみました。


相関係数はそれぞれ小学校0.67、中学校0.41。
強い相関があるとは言えないようです。
大阪では所得と成績に強い相関が確認されましたが、成績が同じものではない(大阪の成績は全国学力テスト)こと、東京は市区の分類で、大阪は市町村分類であるので一概には比べられないと考えられます。


千代田区、港区、渋谷区の平均所得がとても高いので、その3区を除いて散布図を作りなおしてみました。

千代田区、港区、渋谷区を除いた相関係数はそれぞれ小学校0.77、中学校0.69でした。



視点を変えて、国勢調査の職業分類より、A: 専門的・技術的職業従事者、B: 管理的職業従事者、C: 事務従事者、D: サービス職業従事者、に分類される職業従事者の割合をホワイトカラー率(c)として、市区別の小中学校平均正解率の散布図を描いてみます。


相関係数はそれぞれ小学校0.88、中学校0.81でした。
かなり強く相関するようです。 


平均年収とホワイトカラー率の関係は

平均年収が高額な千代田区、港区、渋谷区を除けば、地域のホワイトカラー率と平均所得はほぼ相関するようです。



ちなみに大阪府でも、市町村別平均所得とホワイトカラー率は強く相関(r=0.89)します。
もちろん、学力テストの成績とホワイトカラー率も強く相関します(小中学校ともにr=0.86)。




しかし、秋田県では平均所得と学力テスト成績(e)、平均所得とホワイトカラー率、ホワイトカラー率と成績に相関が確認できませんでした。
(面倒だったので、学力テストの成績はH19年の小学校しか確認していませんが)



まとめ

  • 東京・大阪ではホワイトカラーと呼ばれる職業に就く人の割合の多い地域ほど、平均所得が高い
  • 東京・大阪ともに地域の平均所得と子供の成績は相関する
  • 東京・大阪ともに地域のホワイトカラー職従事者割合と子供の成績は相関する
  • 秋田では地域の子供の成績と、平均所得・ホワイトカラー職従事者割合は相関しない


まあ、確認するまでもなく、所得と学力の相関はとっくに知られているわけですが・・・

http://www.news.janjan.jp/kokkai_watch/0602/0602078930/1.php



さて、どなたか「日教組のつよさ」の客観的データを出していただけないでしょうか。 もう検証してみたくってたまりません。
産経が示した日教組出身の参議院議員2人の都道府県別得票率と学力テストの成績には、まったく相関がないことは確認できましたし、ぜひそれ以外の「日教組の強さ」のデータを出していただきたい。

高崎経済大学教授、日本教育再生機構理事長 八木秀次氏は数字を一切使わず、学力テストと日教組に相関関係があるとしています。

「やっぱりあった学力テストと日教組の“相関関係”」
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20081201-01/1.htm

根拠は 
日教組日教組・全教)」の「強さ」と学力に相関関係があることは多くの国民が肌で感じていたことだ。

相関関係は肌で感じるものではありませんが・・・。 さすがは大学教授、私のような低学力者にはまったく理解できないことをおっしゃる。
「多くの国民」のサンプルにもかなり(ていうか無茶苦茶)偏りがありそうなんですが。 
これは統計学を根本から揺るがす大発見かもしれませんから、産経やSAPIOなんかに書いてないで、統計学会ででもぜひ報告されるべきでしょう。





データ
(a) 東京都成績
平成18年度 児童・生徒の学力向上を図るための調査報告書
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr070614sg/18houkoku.htm
資料編 小学校4教科、中学校5教科の平均点


(b) 平均所得
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001013124&cycode=0
統計でみる市区町村のすがた2008 C経済基盤 2006年のデータ
課税対象所得÷納税義務者数
注:前回、大阪の平均所得を2004年のデータで計算したが、今回2006年のデータで計算したので、前回の平均所得額とは一致しない。


(c) ホワイトカラー率
平成17年(2005年)国勢調査 第3次集計 第2表、第3表
(A専門的・技術的職業従事者+B管理的職業従事者+C事務従事者+Dサービス職業従事者)÷総従業者数


(d) 大阪成績
http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20081017kk02.htm
2008年10月17日読売新聞の記事より平成20年2008年10月17日読売新聞の記事より4科目の平均正解率


(e) 秋田県成績
国学力学習状況調査の結果(932KB)(PDF文書)
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1230082599259/files/201225.pdf
4科目の平均正解率