心がワサワサする

地下生活者の手遊び 「子どもを守らないものは大人とはいわない」
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20090307/1236365429

このブログで地下猫さんは、島根県の公立高校で「学費滞納が生じた生徒には卒業証書を渡さない」という告知がなされたという件について、このブログ主の地下猫さんの書かれているのは、子どもの学費を払わないようなDQN親が出没した時、子どもを守るのは社会の大人であるはずだということを書かれています。

残念ながら本当に卒業証書を取り上げる学校が出てきました。

<山梨・増穂商高>卒業証書を回収 授業料滞納の2人から

 山梨県立増穂商高(増穂町最勝寺久津川孝校長)が授業料などを滞納した昨年度と今年度の卒業生2人から、一度手渡した卒業証書を回収していたことが7日、県教委への取材で分かった。久津川校長は「教育的指導の一環。滞納は本人の問題ではないが、高校生になれば家庭の事情も理解しないといけない」と説明している。

この校長ひとりがこのような考え方であれば、それほど大きな問題ではありません。 社会が反発すれば、卒業証書を取り上げられた高校生たちは同情され、2度とこのようなことは起こらないでしょう。
しかし、こういうやり方に賛同する人が少なくないことに心がワサワサします。


「子どもの貧困―日本の不公平を考える」で著者の阿部彩氏は、一般市民が日本の社会において何を必需品と考えるかの調査において、ほかの先進諸国の調査結果と比べると、日本の一般市民の子どもの必需品への支持率は大幅に低い結果を示しています。  97%の子どもが進学する高校でさえ、本人が希望しても「与えられべき」と考えている人は6割しかいないのです。
http://d.hatena.ne.jp/kei999/20090112


はてぶでも高校のやり方に賛同している意見が多数あります。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.asahi.com/national/update/0227/OSK200902270018.html


私学助成金の値上げで授業料が上がると学校が続けられなくなるので、助成金を上げないでほしいと嘆願にきた高校生に、「自己責任」と言い放った知事の支持率は7割とか8割とか。


どうしても分かりません。 この人たちの気持ちが。
親に恵まれなかった子どもの学費を出してあげれないほど、日本は貧困ではないはずです。
先進国のうち日本の学校教育費の対GDP比の水準は最低レベルだそうです。 あの自己責任教アメリカだって公立高校の学費は無料です。
授業料だって給食費だって無料にしようとすればできるはず。 世論の合意がないだけです。

分からないなりにブコメや地下猫さんのコメ欄にある「彼らの言い分」を読んでいると、親によって不利益が子どもに生じるのは当然・仕方のないことであり、その不利益を社会が被るのは許せないことである・・・という理論らしいのです。 
家族主義と、社会から負の部分を切り捨てたいという心情のミックスでしょうか。


残念ながらどの時代にもDQNな人は発生する。 DQNじゃなくても心を病んでしまったり、手足が不自由などの誰もが同情できるような障害以外の障害を持つこともあるし、運が悪い場合も、頭が悪い場合も、湯浅氏の言うように溜めがない状態になる人もいる。 
その時、社会全体でちょっとづつその負を負担して「お互い様さ!」という社会と、負を未成年の子どもが追うのは当たり前であると考える社会とどちらがいいのでしょうか。 


私はみんなでちょっとづつ負担の方がいいと思うんだけど、「彼ら」は違うみたいですね。