麻生さん、結婚資金が確保できないのは政治とまったく無関係なの?

首相「金ないのに結婚するな」 学生イベントで
 麻生太郎首相は23日夜、都内で行われた学生主催のイベントで、若年層の結婚について「金がないのに結婚はしない方がいい。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と述べた。

 「結婚資金が確保できない若者が多く、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか」との学生の指摘に対する回答。一定の生活力が必要との趣旨とみられるが、不況の影響で就職先がなかったりワーキングプア状態にある若者たちに対する配慮を欠いた発言との批判も呼びそうだ。

 首相は「自分は金がないわけではなかったが、結婚は遅かった。あるからする、ないからしないというものでもない。人それぞれだと思うから、うかつには言えないところだと思う」とも述べた。

http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009082301000685.html

「「結婚資金が確保できない若者が多く、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか」との学生の指摘」があれば、総理大臣として、また1週間後に選挙を迎える政党党首として、有権者(もし未成年ならもうすぐ有権者になるひと)が「麻生さん・自民党は、どのような対策があるのか」と問うていることが理解できるはずです。 誤魔化す気なら「景気回復に全力を上げる。景気が回復すれば雇用情勢が回復し、所得が上がる」とでも言えばよかったんです。 

それなのに麻生さんは、「近所や居酒屋にいるオジサン」的答えを返しています。 「近所や居酒屋にいるオジサン」は現状のシステムを変える力を持ちません。 だから良い就職先を紹介してやれる場合を除いて、人生の先輩としての現状システムの中でなんとかするべきアドバイスをするでしょう。 

しかしこの学生イベントの場合、質問した人も、周りで聞いていた人も総理および選挙目前の党首としての回答を期待したはずです。 それなのに麻生さんの答えはまったく無責任なおじさんの意見でした。 

なぜこの人はこういう失言をしてしまうのでしょう? これが初めてではありません。去年の12月にはハロワで「なんかありませんかねじゃ、仕事は見つからない」なんて発言をしています。
http://d.hatena.ne.jp/kei999/20081222

麻生首相ハローワークを視察「なんかありませんかねじゃ、仕事は見つからない」

 −−求職されている若者に話を聞かれていたが。

 「北海道から出てきて、なんで出てきたといったら、友達っていう話をしてましたんで、友達といっしょに…といってましたんで、いままでやった仕事やらなにやら、ぜんぜん関係ない仕事、っていうんで、何を自分でしたいか決めないと、なんかありませんかね、っていうんじゃ、なかなか仕事は見つからないよ、と。きちんとオレはこれをやりたいとこういったの、という目的意識がきちんとないと、なかなか雇う方だってなかなか、その気になんないから、だから何がやりたいかということをきちんと、目的意識がきちんとないと、就職っていうのは難しい、という話はしました」

この人には悪気はないようです。職を探している人にアドバイスをし、なかなか結婚ができない人には自分が晩婚であった話をするんです。 
悪気はなく、善意。 そして徹底的に無神経で自分の立場に対する自覚が欠けています。

雇用や所得は政治システムの問題です。 なのに麻生さんという人にはまったくその感覚がありません。 23日に行われた学生イベントが「主権者」と「選挙を1週間後に控えた政党党首」であることさえ理解していたら、こんなトンチンカンな発言をすることはなかったでしょうか。 このひとがトンチンカンなのは「下々の皆さん」が政治に要求してくるなんていう仮定が全くなかったからでしょう。 

残念ながら、麻生さんには「お金がないから結婚ができない」と雇用や社会保障の問題とを結びつける想像力がありません。